『天空の城ラピュタ』久石譲の音楽がない映画になっていたかもしれない
『天空の城ラピュタ』の制作中、プロデューサーの高畑勲は、音楽を入れない案を考えていました。鈴木敏夫が振り返る理由は、手で描いた人物の芝居を、音楽が邪魔してしまうのではないかという懸念です。[1]
・手描きの芝居を、音楽が邪魔しないか
鈴木は、高畑の考えが分かるようになっていたものの、レコード会社などの事情もあり、通常どおり音楽を作る方向へ説得したと語っています。絵で伝えることを大事にする高畑と、音楽も含めて映画を届ける鈴木の間に、こんなやり取りがあったのです。[1]
・風景の中にいるように感じられるかもしれない
同じ取材記事が紹介する公開当時の発言でも、高畑は、音楽がなくても映画は成立したのではないかと考えています。雲の上やラピュタを、もっと現実の場所のように感じられたかもしれない。ただし、現実音だけでは観客がずっと集中することになり、疲れてしまうとも述べています。[1]
この画面では、人物を追うだけでなく、池や崩れた柱、その間を通る道へ目を向けられます。ここに音楽がある時と、周囲の音だけがある時では、どんな印象になるでしょうか。[2]
高畑は、娯楽映画として音楽を入れ、しかも積極的に使ったと説明しています。完成版の音楽は、最初から当然のようにそこにあったのではなく、入れない可能性まで考えた末の選択でした。[1]
・脚注
- abcdweb岩波:鈴木敏夫×田家秀樹 第2回 ジブリ前史と『天空の城ラピュタ』の音楽(2024年9月6日)。鈴木本人の回想と、1986年『ロマンアルバム』の高畑発言を紹介。
- スタジオジブリ:『天空の城ラピュタ』公式場面写真。図版の画面観察。