🔍 ポップコーン探偵
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シノーラの映画トリビア用メインビジュアル 画像は生成イメージです
過去の放送記録
放送日 10月13日(火) 13:40〜

シノーラ

Joe Kidd / 1972
IMDb ⭐ 6.4放送日 2026/10/13 テレ東🕐 88分🎬 Universal Pictures / Malpaso Productions1972年
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探偵アイコン 探偵による映画背景メモ

1972年公開。本作はエルモア・レナードが土地闘争を題材に書いた脚本を、ジョン・スタージェス監督とクリント・イーストウッド主演で映画化した西部劇であり、日本題は初期のワーキングタイトル *Sinola* を残している。レナードは後年、スタージェスの求めに応じて脚本を書き戻した一方、メキシコ系指導者チャマの人物像や場面構成は監督側で変更され、完成作を自作の脚本とは距離のあるものと評した。撮影はカリフォルニア州ビショップ、ローン・パイン周辺とアリゾナ州オールド・ツーソンで行われ、鉄道を建物へ突入させる終盤は、スタージェスが現地の狭軌線を見つけた後に追加された。AFIの記録では、本作は美術ヘンリー・バムステッド、編集フェリス・ウェブスター、助監督ジェームズ・ファーゴらがマルパソ作品へ長期参加する起点にもなった。興行データには公開市場や再上映を含む範囲の差があり、The Numbersの北米集計だけでは世界全体の成績を断定できない。脚本家が土地の所有をめぐる物語を書き、監督がその脚本の所有権まで握ったような作品である。

― ポップコーン探偵
この映画の トリビア!!!
16件
着想・実話
信頼度

邦題『シノーラ』は、消えた脚本題に残る「実在事件の痕跡」だった

原題『Joe Kidd』は主人公の名前ですが、邦題『シノーラ』はニューメキシコ州にある劇中の架空の町を指します。この題名をたどると、西部劇の脚本に取り込まれた、1967年の実在事件へ行き着きます。[1][2]

・着想源は、ティエラ・アマリヤ郡庁舎襲撃

西部小説家エルモア・レナードは、イーストウッドのために映画用のオリジナル脚本を書きました。着想源は1967年6月5日、ニューメキシコ州で起きたティエラ・アマリヤ郡庁舎襲撃です。[2][3][4]

率いたのは、スペイン・メキシコ統治時代から続く共同土地の権利を取り戻そうとする、アリアンサ・フェデラル・デ・メルセデスの指導者レイエス・ロペス・ティヘリーナでした。1848年のグアダルーペ・イダルゴ条約で尊重されるはずだった土地譲渡の権利は、その後の所有権の移転で失われていきます。ティヘリーナたちは土地の返還と運動参加者の釈放を求め、リオ・アリバ郡の庁舎へ入りました。事件後には州兵や警察の大規模な捜索が行われました。[4]

レナードはこの事件を20世紀初頭へ移し、ティヘリーナをルイス・チャマ、ティエラ・アマリヤをシノーラへ置き換えました。下の写真は、その着想源となった地域を示す1874年の歴史資料です。[6]

1874年に撮影されたニューメキシコ州ティエラ・アマリヤ北西のホース・レイクス
ティモシー・H・オサリヴァンが1874年に撮影した、ティエラ・アマリヤ北西のホース・レイクス。ニューヨーク公共図書館所蔵資料をDPLA経由で公開した画像で、CC0。1967年の庁舎襲撃や映画の撮影現場を写した写真ではなく、物語の着想源となった地域の歴史的景観として掲載。画像情報を見る。

・初期の題名が、日本では残った

脚本の初期題は『The Sinola Courthouse Raid』、直訳すると「シノーラ郡庁舎襲撃」でした。実在事件の「Tierra Amarilla Courthouse Raid」とほぼ同じ形です。製作時には短い『Sinola』となり、アメリカ公開時に主人公名の『Joe Kidd』へ変わりました。AFIにも製作時の別題が記録されており、日本では、その中間の題名が残ったことになります。[1][2]

・チャマを善玉へ変えたことに、レナードは反対した

レナードの初期案では、チャマは民衆より自分の栄光のために動く人物で、ティヘリーナの再現ではありませんでした。ジョン・スタージェス監督が善玉へ近づけると、レナードは物語の力学が崩れたと考えます。正しい指導者なら、ジョーが反発し、どちらに立つか迷う理由が弱くなるためです。[2]

完成版への不満は主にこの変更へ向けられたもので、イーストウッドについては仕事のしやすい相手だったと振り返っています。[2][5]

・脚注

  1. abAFI Catalog「Joe Kidd」。1972年、ジョン・スタージェス監督、エルモア・レナード脚本、クリント・イーストウッド主演の対象作であること、製作時の題名が『Sinola』だったこと、撮影時期と場所、完成作の基本情報を確認した。(リンク)
  2. abcdeFilm Comment, Volume 34, Number 2(1998年3・4月号)掲載のエルモア・レナード本人取材。ティヘリーナとニューメキシコ州の郡庁舎襲撃を下敷きにしたこと、初期脚本題『The Sinola Courthouse Raid』、当初のチャマの人物像、スタージェスによる変更、イーストウッドとの脚本作業を確認した。該当箇所は誌面48ページ。(リンク)
  3. Los Angeles Times「MOVIES: Hey, Crime Does Pay」(1995年10月15日)。レナード本人が、本作をイーストウッドのためのオリジナル脚本として依頼されたこと、改稿時にプロデューサーが書き換えた台詞を自分の台詞へ戻したことを振り返っている。(リンク)
  4. abLibrary of Congress Research Guides「1967: Tierra Amarilla Land Grant & Courthouse Raid」。1967年6月5日の事件、ティヘリーナとアリアンサ・フェデラル・デ・メルセデス、土地譲渡問題、事件に至る経緯を確認した。(リンク)
  5. The Daily Beast「‘Justified’ Season Finale: Elmore Leonard Interviewed」(2012年4月9日)。レナードがイーストウッドの演技ではなく、スタージェスによるチャマの善玉化を問題として挙げたことを確認した。(リンク)
  6. Wikimedia Commons「Lagunas Caballo or Horse Lakes...」およびNew York Public Library由来の公開情報。ティモシー・H・オサリヴァン撮影、1874年、ニューヨーク公共図書館所蔵資料、DPLA経由、CC0表記を確認した。(リンク)
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企画・脚本
信頼度

原作ものではなく、エルモア・レナードがイーストウッド用に書いたオリジナル脚本。レナードはクリント・イーストウッド主演を前提に、映画用のオリジナル脚本として物語を書いた。後年の取材でも、プロデューサーからイーストウッドのための脚本を依頼された仕事だったと説明している。

脚本・改稿
信頼度

脚本会議の前、プロデューサーはレナードの台詞へ鉛筆で削除線を引いていた。レナードはその場で争わず、イーストウッドが来る前に消しゴムで線を消し、自分の台詞をすべて元へ戻した。本人によれば、イーストウッドは復元された台詞を読んで変更を求めなかった。

脚本・人物造形
信頼度

レナードの初稿でルイス・チャマは、土地を奪われた人々を本気で救う英雄ではなく、自分の名声を優先する危うい指導者だった。スタージェスはチャマをより善玉らしい人物へ変更した。レナードは後年、この変更でジョー・キッドがどちら側へ立つかという物語の力学が崩れたと振り返っている。

関連作品・演出
信頼度

レナードによれば、スタージェスは自作『荒野の七人』(1960)で使わなかった演出案を本作へ持ち込んだ。植木鉢を撃ち落として男の首へかぶせる場面も、その未使用案の一つだった。レナードは、こうした追加が単純だった脚本を複雑にしたと考えていた。

演出・主演
信頼度

【ネタバレあり】終盤でジョーがフランク・ハーランと向き合う場面を、レナードとスタージェスは銃を抜かずに進めるつもりだった。ところがイーストウッドは「本当に銃を持たないのか」と確認し、完成版ではジョーが銃を手にしている。レナードはこの小さな変更を、主演俳優と脚本の力関係が現れた例として回想した。

脚本家の評価
信頼度

レナードは完成した本作を気に入っていなかったが、その不満をイーストウッドへ向けてはいない。本人はイーストウッドを台詞や脚本をほとんど変えない、仕事のしやすい俳優と評した。一方で、スタージェスの改変が物語を複雑にしたと繰り返し説明している。

クライマックス・撮影
信頼度

【ネタバレあり】列車が建物へ突入するラストは、撮影開始後に追加された。撮影開始後、スタージェスはOld Tucsonの線路が酒場の直前で終わる地形に気づき、その場所を使うラストを考えた。レナードも後年、列車の結末は監督が思いついたものだったと説明している。

仮題
信頼度

レナードが語った初期脚本の題は『The Sinola Courthouse Raid』だった。AFIの製作記録では、その後のワーキングタイトルは『Sinola』になっている。最終的には架空の郡名ではなく、イーストウッドが演じる主人公の名を前面に出した『Joe Kidd』で公開された。

ロケーション
信頼度

本作の町場と山岳風景は、一つの地域だけで撮られていない。西部劇の町はアリゾナ州Old Tucsonを使い、屋外撮影はビショップ、ローンパイン、インヨー国有林周辺でも行われた。完成版の謝辞にも米国森林局インヨー国有林の協力が記されている。

スタッフ・制作体制
信頼度

本作は、イーストウッドの制作会社Malpasoにとってスタッフ面でも転機になった。助監督ジェームズ・ファーゴ、編集フェリス・ウェブスター、美術ヘンリー・バムステッドは、ここから同社との長い協働を始めた。3人はその後、監督・編集・美術の異なる立場でイーストウッド作品を繰り返し支えることになる。

出演者証言・現場
信頼度

2020年に米国で発売されたKino Lorber版Blu-rayには、ラムーア役ドン・ストラウドの新録インタビューが収められた。ストラウドは『クーガンズ・ブラフ』(1968)での共演から本作へ起用された経緯に加え、スタージェスとイーストウッドの緊張した関係、自身の独特な死亡場面を振り返っている。特典は約10分で、撮影から約半世紀後の当事者証言である。

情報不足・要確認
信頼度

撮影中にイーストウッドが体調を崩したことを、「馬アレルギーだった」と説明する説がある。ところが後年の伝記的記述では、気管支感染症と不安発作を馬への反応と誤って報じたものだと訂正されている。制作記録からは診断名を確認できず、馬アレルギー説も、後年の訂正内容も医療記録で確定できない。馬を原因とする説を支えるだけの裏付けは得られていない。

情報不足・要確認
信頼度

IMDbには、スタージェスが本作の現場で頻繁に酔い、助監督が代わって撮影したという逸話がある。ドン・ストラウドの後年インタビューが監督と主演の緊張へ触れることは確認できたが、飲酒の頻度、撮影代行をした人物、該当日を示す本人証言や制作日報は見つからなかった。現時点では、関係の緊張から一段飛躍した未裏付けの説である。

情報不足・要確認
信頼度

「本作はイーストウッドとジョン・ウェインを共演させる企画で、ウェインが断ったため人物が削除された」という説がある。しかしAFIの企画記録とレナードの脚本回想には、ウェインの役名、オファー、削除された人物が記されていない。二大スターの共演が別の時期にも検討されたことと、本作の具体的な制作過程を結びつける証拠は未確認である。

情報不足・要確認
信頼度

IMDbには、ジョー役の候補としてチャールズ・ブロンソン、スティーヴ・マックィーン、ロバート・ミッチャムが挙がり、ハーラン役はジーン・ハックマンが断ったという説がある。だがAFIの制作記録、レナード本人取材、確認できた当時資料にはオファーや交渉の記録がなかった。候補者の長い名簿は、現段階ではIMDb投稿以上に裏づけられない。

裏取り強め
有力ソースあり
未確認・噂寄り
情報不足・要確認

主な参考資料

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