『モアナと伝説の海』海は味方。でも、助けすぎてはいけなかった
本作の海には、モアナを助けたいという意志があります。でも、海が何でも解決してしまうと、航海の冒険が成り立ちません。 ストーリー担当のデヴィッド・デリック・ジュニアは、ロードムービーを作ろうとして、その「道」自体を登場人物にした難しさを話しています。海が助けすぎないようにする。その加減が、物語を作るうえでの課題でした。[1]
・親切な海にも、できることの加減がある
普通の旅なら、道は主人公を運んでくれません。ところが本作では、進む先の海そのものが動き、モアナに働きかけます。味方であると同時に、旅の舞台でもある。考えてみると、ずいぶん難しい相手を仲間にしたものです。
・目も口もない水に、どう芝居を付けるか
映像側にも別の難問がありました。海には、表情を作る目も口もありません。アニメーション担当のハイラム・オズモンドによると、アニメーション班が動きを作り、エフェクト班が水らしい見た目を加える作業を、何度も往復したそうです。細かな波紋が、せっかくの芝居を邪魔しないことも大切でした。[1]
ここでいう芝居は、水がどんな形になり、いつ動くかということです。まず形とタイミングを決め、その動きに水の流れやしぶきを組み合わせる。最初から自然な波だけを計算して、偶然いい身振りになるのを待ったわけではありません。[2]
下は、海がモアナとハイタッチする完成画面です。水の先端は相手の手へ伸びていますが、下の部分は周囲の海へ続いています。手のように動きながら、一本の腕には見えない。このつながりも、制作で気を配った部分でした。[2]
・動かすだけでも、流すだけでも足りない
エフェクト担当のベン・フロストは、水のキャラクターが海から突き出した触手に見えず、海全体の一部に見える必要があったと説明しています。動きに水の流れを合わせ、さらに接触する部分のしぶきなどを重ねました。ハイタッチも、その作業の例です。[2]
脚本では助けすぎないようにし、映像では親しい相手に見えるようにする。 海を仲間にするには、その両方が必要でした。次に見るときは、水がモアナへ手を差し伸べる動きだけでなく、そのあとモアナ自身が何をするのかにも注目してみてください。
・脚注
- abThe Credits From Storyboard to Screen: Behind the Scenes of Disney’s Moana(2016年11月)。デヴィッド・デリック・ジュニアとハイラム・オズモンドへの取材。
- abcSideFX Moana、Getting a Performance Out of…Water。形・タイミングと流体表現の分担、ベン・フロストの証言、ハイタッチの完成画面。