『バイオハザード』のアリスは、降板寸前の脚本交渉から生まれた
『バイオハザード』(2002)のレインは、初期脚本では映画が始まって20分ほどで死ぬ、小さな男性役でした。ところが、『ガールファイト』(2000)で注目を集めたミシェル・ロドリゲスの参加が決まると、ポール・W・S・アンダーソン監督は小さな役へ収めるのは惜しいと考え、女性の大きな役へ書き直しました。[1]
その出番を増やすために、主演のアリスからアクション場面を移したことが問題になります。ミラ・ジョヴォヴィッチの証言では、レインが物語を動かし、アリスは後ろから付いていく「女の子」のような位置へ下がっていました。[2]
・新稿を読んだジョヴォヴィッチは、降板を申し出た
ジョヴォヴィッチは別作品の仕事でカナダに滞在しており、ドイツの撮影地へ向かう飛行機で初めて新しい脚本を読みました。ベルリンへ着くとホテルでアンダーソンと会い、直さないなら翌日にも帰ると告げたそうです。彼女が問題にしたのはロドリゲスの起用ではなく、主人公の役割が説明なく移されていたことでした。[2][3]
・1ページ目から読み直し、アリスの場面を戻した
二人は脚本を1ページ目から読み、場面ごとに変更を確認しました。話し合いの長さは、Inverseの口述史では約3時間、The Guardianの取材では約4時間とされ、本人の回想に差があります。調整でアリスへ戻された場面の一つが、壁を駆け上がってゾンビ犬を蹴るアクションでした。[2][3]
完成版では、レインは武装部隊の一員として行動し、アリスは記憶を失った状態から自分の能力を発見していきます。アンダーソンによると、撮影開始後は調整した脚本へおおむね忠実に進められました。公開後のDVD音声解説には二人の俳優が一緒に参加し、互いに冗談を飛ばし続けるほど打ち解けていたとも話しています。[1]
・脚注
- abJoBlo「INT: Paul W.S. Anderson」(2002年当時の監督インタビュー、2021年7月28日更新)。レインに相当する役が、当初は映画開始後20分ほどで死ぬ男性だったこと、ミシェル・ロドリゲスの参加後に女性へ変更して役を拡大したこと、完成した撮影稿へおおむね忠実に撮影したことを確認した。(リンク)
- abcInverse「Resident Evil Oral History: Set Secrets From Its 15-Year Run」(2017年5月31日)。ジョヴォヴィッチ、アンダーソン、製作者ジェレミー・ボルトらの口述史。ジョヴォヴィッチが飛行機で改稿を知り、降板を示唆したこと、約3時間かけて脚本を1ページずつ確認したことを本人証言で確認した。(リンク)
- abThe Guardian「Milla Jovovich: 'I went in for Resident Evil as a joke. Now it's a steady job'」(2009年8月7日)。ジョヴォヴィッチ本人の回想として、改稿への反発、約4時間のページ単位の調整、壁走りからゾンビ犬を蹴る場面をアリスへ戻した経緯を確認した。(リンク)