『サンセット大通り』プールの底から見上げた遺体は、鏡越しの撮影だった
【ネタバレあり】
プールに浮かぶジョー・ギリスの遺体と、その向こうからのぞき込む警官たち。『サンセット大通り』の印象的な画面は、水中から撮ったように見えます。ところが、撮影カメラはプールの脇にあり、水底に置いた大きな鏡を撮っていました。[1]
・遺体だけでなく、水の外の人も見せたい
ワイルダーが求めたのは、ウィリアム・ホールデン演じるジョーの顔と、プールの縁にいる警官や写真を撮る人々を、一緒に見上げる画面でした。TCMの制作解説によると、美術担当のジョン・ミーハンが試行を重ね、鏡を使う方法にたどり着いています。[2]
カメラを水中へ入れれば、そのまま狙った画面になるわけではありませんでした。American Cinematographerの1950年の記事は、狙った撮り方では水面が鏡のように働き、水の外を見せられないことが問題だったと説明しています。[1]
・本物の鏡で、水中にいるカメラの視点を作る
そこで、大きな鏡を水の中へ沈めました。プール脇のカメラは、その鏡に映った遺体と人々を撮影します。TCMも、角度を適切に取ることで、カメラ自体を水中へ入れずに反射像を撮れたと説明しています。[1][2]
完成画面を見ると、こちらをのぞき込む人々の前に、ジョーの顔と体が重なっています。観客には水の底の視点に見えても、撮影現場ではカメラと鏡の位置関係で作った画面でした。[1]
ASCの記事には、ワイルダーや出演者、撮影監督ジョン・サイツらがテスト用のフィルムを確認する写真も紹介されています。大がかりな水中カメラの話かと思ったら、仕掛けの中心にあったのは鏡。あの不思議な視点は、撮る場所と映っている場所を分けて作られたものだったんですね。[1]
・脚注
- abcdeAmerican Cinematographer An Old Master Shows Some New Tricks on Sunset Boulevard(Herb A. Lightman、初出1950年9月、ウェブ再掲2021年3月4日)。水面の反射の問題、水中の大きな鏡、プール脇のカメラ。掲載の完成画面およびテスト・フィルムを見る1950年誌面表紙の説明。
- abTCM Behind the Camera Sunset Blvd.(Frank Miller、2011年1月20日)。ワイルダーの狙い、美術担当ジョン・ミーハンの試行、鏡とカメラの位置。