美術館を90%の大きさで建て、昼に撃って夜に修復した
『ザ・バンク 堕ちた巨像』のグッゲンハイム美術館での銃撃戦。撮影のため、美術スタッフはベルリン近郊に実物の90%に縮小したセットを建てました。建設に与えられたのは12週間。撮影中には、昼に銃撃の場面を撮り、夜に翌日用の壁を用意する24時間体制の時期もあったそうです。[1]
ニューヨークの本物の美術館では、撮影できても建物を壊すわけにはいきません。美術担当のサラ・ホートンが選んだのは、スタジオ近くの使われていない鉄道操車場の建物でした。中央に柱がなく、約40mの幅と十分な高さを取れることが決め手です。らせん状の空間を中に収めるには、広い工場ならどこでもよい、というわけではありませんでした。[1]
美術館からはCAD図面、つまりコンピューターで作られた設計図も提供されました。それを基に再現しつつ、建物の中へ収めるために少し縮小しています。通路は足場から4〜5mほど張り出し、外側に人や機材が集中すると荷重が問題になるため、撮影初期には位置を分散させる作業も必要でした。[1]
銃弾が当たる壁には、着弾の跡を作る仕掛けを組み込んでいます。しかも美術館の壁は曲がり、傾斜もある。一日の撮影が夜9時ごろまで続くと、次に撮る場面の指示を受け、夜の班が新しい壁を準備しました。撮影班が帰っても、翌日の銃撃を撮るための仕事は続いていたのです。[1]
ティクヴァ監督によれば、本物の美術館での数日間の撮影に加え、約13分の場面のために、再現セットでは6週間近く撮影しています。画面でつながって見える美術館は、ニューヨークの実物と、ベルリン近郊で建てて直し続けたセットを組み合わせた場所でした。[2]
・脚注
- abcdPushing Pixels「The craft of art direction – conversation with Sarah Horton」。2011年8月16日。ホートン本人のセット建設・縮尺・荷重・昼夜の作業の説明。
- Filmmaker Magazine「Tom Tykwer, The International」。監督本人の実館と再現セットでの撮影期間についての説明。