『関心領域』は「二本の映画」――家庭の映像に、壁の向こうの音を重ねた
『関心領域』の音響設計者ジョニー・バーンは、作品を家の中で見て聞く映画と、収容所の壁の向こうから聞こえる映画の二本として考えました。家庭の場面を先に組み、その後で、画面外の恐ろしい音を重ねています。[1]
・まずは、家の中だけで映画を組む
現場で集めたのは、会話だけではありません。鍋や食器、足音など、家の中で人が暮らしていると感じられる音も重要でした。バーンによれば、壁の向こうの音を最初から入れると、家庭の映画の作り方まで、その恐怖に引っ張られてしまう。その影響を避けるため、先に日常だけで一度組み立てたのです。[1]
一方で、壁の向こうの音は、思いつきで後から足したものではありません。バーンはA24への寄稿で、映像に音を付け始める前から、アウシュヴィッツの資料を数か月調べ、音づくりの試行錯誤にも数か月をかけたと説明しています。[2]
・聞こえる距離も、録音で合わせる
音響班は、収容所のどこで音が生まれ、家へどう届くのかを地図に整理しました。銃声なら、想定した約110メートルの距離に合わせ、イギリスのワイト島で録音しています。コンクリートに反射する響きも収め、壁がある場所では、その反響を使えるようにしました。[1]
・脚注
- abcThe Credits:‘The Zone of Interest’ Sound Designer Johnnie Burn on Creating the Soundscape From Hell(Bryan Abrams、2024年1月18日、ジョニー・バーンへの直接取材)。
- A24:A Note from The Zone of Interest Creative Team(2024年2月2日、バーンら制作スタッフ自身の寄稿)。