『インサイド・ヘッド2』イイナーのかわいさは、雨に濡れた子犬から
イイナーのかわいさを決めたのは、雨に濡れた子犬のような顔でした。誰かをうらやむ感情を、そのまま嫌な顔にしてしまったら、観客には好きになってもらえません。キャラクターのデザインを担当した村山佳子によると、初期の案でも、かわいくない、好きになれないという反応が問題になっていたそうです。[1]
・嫉妬を、憧れの表情にする
転機は、監督とプロダクションデザイナーから出た子犬の提案でした。そこで村山が強調したのが、キラキラした大きな目です。「うらやましい」という気持ちも、目が輝いていればポジティブに見える。その考えで、イイナーの顔を探していきました。[1]
方向が決まってからも、村山は約100案を描いてケルシー・マン監督に見せています。気に入られた案をもとに、さらに描いて絞り込む作業の繰り返し。本人が担当した期間だけでも、およそ3〜4か月かかったと振り返っています。[1]
下は、ピクサーが公開しているイイナーのコンセプトアートです。目が顔の大部分を占め、瞳には白い光がいくつも入っています。小さな体に対して目の存在感が大きく、何かを見つめる気持ちが顔いっぱいに出ていますね。[3]
・大きな目を立体にすると、別の難しさがある
ところが、紙でかわいく描ければ完成、とはいきません。村山は別のインタビューで、イイナーのように簡単そうなキャラクターこそ、3Dモデルにするのが難しかったと説明しています。平面の絵なら大きく描ける目も、立体では奥行きを持ちます。少し突き出た鼻と合わせると、顔の中心へ目鼻が集まりすぎた印象になってしまうのです。[2]
一か所を直すと、また別のところに問題が出る。村山はモデル担当のスタッフと、毎日のように話し合ったそうです。目を大きくするという一つの発想にも、立体で成立させるための調整が必要だったわけですね。[2]
・脚注
- abcシネマトゥデイ 村山佳子へのキャラクターデザイン取材(2024年8月3日)。子犬の提案、目の輝き、約100案、担当期間。
- abアニメイトタイムズ 村山佳子インタビュー(2024年8月3日)。イイナーの2Dから3Dへの調整についての本人証言。
- ピクサー公式 Inside Out 2、Envy欄のコンセプトアート。