『キングダム2』羌瘣の剣技は、既存の武術をそのまま使わずに作った
羌瘣が舞うように剣を振り、兵士たちを倒していく。あの動きを作るため、アクション監督の下村勇二が求めたのは、既存の武術に当てはめるのではなく、羌瘣独自の戦い方を作ることでした。清野菜名と、スタントダブルとして難しい動きを担う坂口茉琴が、試行錯誤を重ねています。[1][2]
・ワイヤーだけでは、暗殺術に見えない
下村は、原作の超人的な動きへどこまで寄せるか悩んだと話しています。ワイヤーやVFXを多用すれば、漫画らしい動きには近づけられる。しかし、それだけでは暗殺術の説得力が薄れてしまう。そこで古武術の身体操作を土台に、アクロバティックな動きを組み合わせました。[1]
坂口も、原作やアニメを見るだけでは、動きの細部をつかめなかったそうです。各国の武術家の動画を研究し、自分で動いて試す。それを舞うような動作へ混ぜ、羌瘣らしく見えるかを探っていきました。撮影前にはアクション部が動きを映像にしたビデオコンテを作り、映画スタッフへ見せています。[2]
・殺陣を覚える前に、体の動かし方から変える
清野が撮影前に行った訓練は3か月。最初から剣の振り方を覚えたのではなく、筋力や体の基礎を作るところから始めました。首や腰など、体の一部分を独立させて動かすアイソレーションも、その一つです。[3]
清野の取材では、両手に置いた物を落とさずに体を動かす練習や、剣先をぶらさず8の字に剣を動かす練習が挙げられています。大きく動くだけではなく、細かい動きを制御する稽古だったんですね。基礎練習は撮影が始まってからも続きました。[3]
・速さだけでなく、リズムを崩す
清野が目指したのは、一度見ただけでは動きをつかみきれないような、不気味さもあるアクション。単調なテンポにせず、緩急やリズムを探ったと振り返っています。[3]
特徴的な「トーンタンタン」の呼吸についても、下村は原泰久に助言を求め、跳躍をそのリズムへ合わせました。浮遊感をどう出すか、ワイヤーやゴムチューブ、カメラの速度なども検討したそうです。体で作る動きと、撮影で加える浮遊感の両方を調整して、あの剣技になりました。[1]
・脚注
- abcシネマトゥデイ 羌カイの「トーンタンタン」はこうして生まれた!清野菜名のスゴ技アクションの裏側(2022年8月20日、下村勇二への直接取材)。既存武術との違い、身体操作、坂口との協働、呼吸・ワイヤー等の検討。
- ab明治安田 ライフフィールドマガジン スタントウーマンってどんな仕事?坂口茉琴さんに聞いてみた!(取材・文:納谷ロマン)。坂口本人による武術研究、舞う動きとの組み合わせ、清野との共同作業、ビデオコンテの説明。
- abcシネマトゥデイ 清野菜名『キングダム』羌カイ役で「新しい自分に出会えた」(2022年7月11日、取材・文:天本伸一郎)。3か月の基礎訓練、道具を使う練習、緩急を付けた動きについての本人取材。