『キングダム 運命の炎』9歳の嬴政を、なぜ吉沢亮本人が演じたのか
【ネタバレあり】
『キングダム 運命の炎』で、趙の人質だった9歳の嬴政を演じたのは、子役ではなく吉沢亮でした。これは制作側だけの思い付きではありません。吉沢自身が第1作の撮影中から、紫夏編を自分に演じさせてほしいと頼んでいたのです。[1]
・少年時代も自分で演じたい
2023年7月4日のワールドプレミアで、吉沢は、年齢を考えれば本来は子役が演じる役だと分かっていたと説明しています。それでも原作の紫夏編が好きで、『キングダム』(2019)の撮影中から、続編で描くなら出演したいと直訴していました。[1]
原作者の原泰久も、制作側へ子役にするのか尋ねたそうです。松橋真三プロデューサーは吉沢の起用を譲りませんでした。少年時代の経験を現在の嬴政へつなぐには、吉沢本人にその重みを背負って演じてもらうことが大切だ、と原へ説明。原もその意図を受け入れたと、公式インタビューで話しています。[2]
・若く見せるより、感情の受け取り方を変える
では、吉沢は国王と9歳の少年をどう分けたのでしょうか。FASTの取材で、国王の嬴政については、動きを抑え、目の前の出来事より一歩先を見ることを意識してきたと説明しています。内心が揺れていても、すぐに表へ出す人物ではありません。[3]
一方、過去の嬴政では、人から向けられた憎しみや愛情を、その場で受け止めて反応するようにしたそうです。同じ顔のまま、感情との距離を変える。 松橋も、外見を幼くすることより、心を閉ざした嬴政が紫夏との出会いで感情を取り戻す過程を大切にしたと語っています。[2][3]
・心の中に現れるのも、もう一人の嬴政
原作の紫夏編では、長平の戦いの亡霊が嬴政を苦しめます。映画では、その表現をもう一人の嬴政へ変更し、こちらも吉沢が演じました。松橋によると、複数の亡霊が押さえ付ける形より、実写に合う表現を探った結果です。[2]
現在の国王、傷ついた少年、自分を苦しめる内面の姿。紫夏編では、吉沢の顔が同じだからこそ、その違いを芝居で見せる配役になっています。
・脚注
- abシネマトゥデイ 吉沢亮『キングダム3』で“三役”の演じ分け話題(2023年8月5日)。7月4日ワールドプレミアでの吉沢本人の発言、9歳の嬴政の場面写真。
- abc映画『キングダム 運命の炎』公式 松橋真三インタビュー。子役にしない判断、原泰久との相談、感情を取り戻す演出、亡霊をもう一人の嬴政へ変更した経緯。
- abFAST 吉沢亮 映画『キングダム 運命の炎』嬴政の内に秘めた炎に魅力を感じる(2023年8月2日)。国王の動きの抑制、現在と少年時代で感情への反応を変えたという本人取材。