主な参考資料
- AFI
- Turner Classic Movies
- American Cinematographer
- BFI
- YouTube
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ロバート・ブロックの小説を映画化した本作は、パラマウントの原作読者が「映画にはあまりに不快」と評した企画だったが、アルフレッド・ヒッチコックはMCAの代理人を通じて映画化権を匿名で購入した。脚本家ジョゼフ・ステファノは原作冒頭のノーマンと母親の会話をやめ、最初の約45分をマリオン中心に構成し、アンソニー・パーキンスに合わせて原作の中年で太ったノーマンを若く脆い人物へ変えた。パラマウントが全額出資に慎重ななか、ヒッチコックは監督料を繰り延べて作品の持分60%を得る契約を選び、テレビシリーズ『ヒッチコック劇場』(1955–1962)の小規模な撮影班を起用、白黒撮影も組み合わせて製作費を約$810,000に抑えた。映画製作倫理規定を審査するPCAは、性描写やシャワー場面などを問題視して当初承認を拒み、公開前の修正を経て認証した。シャワー殺害の約45秒のモンタージュには1週間を費やし、78のカメラ・セットアップと52のカットを組み合わせたが、ヒッチコックは宣伝でも上映開始後の入場を禁じ、物語の秘密を守るため客席の作法まで演出した。AFIが引く1960年のVariety報道では米国内3,750件の初回上映契約で700万ドル超を記録し、ヒッチコックは1966年に興収が1,500万ドルに達したと述べているものの、再公開分を含む現代の累計額は同じ基準で確定できない。
ヒッチコックがロバート・ブロックの小説に目を留めたきっかけは、アンソニー・バウチャーの書評だった。AFI所収の監督の手紙には、その紹介を読んで映画化権を買ったと記されている。
映画化権の交渉はヒッチコックの名を隠して進められた。AFIが確認した監督の文書によれば、取得額は9,000ドルで、原作者ブロックは成立後に買い手を知った。
最初に脚色を任されたジェームズ・P・キャヴァナの原稿は採用されなかった。ヒッチコックは代理人の推薦でジョゼフ・ステファノを迎え、映画の語り口を組み直した。
原作はノーマンと母のやり取りから始まる。脚本家ステファノは映画をマリオンとサムの場面から始め、観客がまずマリオンの行方を追う構成に変えた。
小説のノーマンは太り気味で頭髪の薄い40歳の男だった。映画ではアンソニー・パーキンスの起用に合わせて、若く、親しみやすさと脆さを持つ人物に変えられた。
【ネタバレあり】原作で殺害されるのはメアリー・クレーンで、映画ではマリオン・クレーンへ改名された。小説には首を切り落とす描写があるが、映画のシャワー場面は細かなカットの連続で殺害を示している。
大作『北北西に進路を取れ』の次に、ヒッチコックはテレビ番組のスタッフを多く集めた。撮影監督ジョン・L・ラッセルもその一人だった。
AFIが引く1960年の業界紙によれば、ヒッチコックは監督料の受け取りを繰り延べ、その代わり作品の60%の持分を得た。低予算での製作を成立させる契約上の判断だった。
【ネタバレあり】ヒッチコックは撮影専門誌の取材で、白黒にした理由を浴室の血に求めた。カラーで同じ場面を撮れば、血が生々しくなり、場面そのものを削られていたはずだと説明している。
冒頭で街からホテルの窓へ一気に寄る映像は、ヘリコプターによる長い一続きのショットとして構想されていた。だが撮影素材の揺れが大きく、画面をつなぎ替える方法へ変更したと助監督は振り返る。
テレビ制作の手際を取り入れ、ヒッチコックと撮影監督ラッセルは多くの場面を2台のカメラで撮った。角度ごとに準備をやり直す回数を減らせる方法だった。
【ネタバレあり】シャワー場面の浴室セットは壁を取り外せる造りだった。TCMによれば撮影には7日を使い、カメラの設置位置は78通りに及んだ。完成映像の長さとは桁違いの準備だ。
【ネタバレあり】排水口へ流れる血の代わりに使ったのは、チョコレートシロップだった。白黒撮影では色よりも、液体が水と混ざって流れる濃淡が画面上の効果になった。
【ネタバレあり】刃物が当たる音は、実際の刺傷ではなく食材で作られた。効果音班は複数のメロンを試し、カサバメロンを選び、肉の音も組み合わせた。
【ネタバレあり】マリオンの代役としてマーリ・レンフロが参加した。ただし「シャワー場面は全て代役」ではない。リーの回想では、照明などの確認や遺体を包んで運ぶ撮影にレンフロが使われた。
【ネタバレあり】シャワー場面で身体が壁へ叩きつけられたように見える一瞬は、動きの途中をわずかに省いた編集によるもの。関係者は4〜5コマを抜いたと振り返っている。
バーナード・ハーマンは管楽器や打楽器を使わず、弦楽器だけで全編のスコアを組み立てた。黒白映像に合わせた音の設計で、後の恐怖映画とは異なる鋭い響きを作った。
【ネタバレあり】ヒッチコックはシャワー場面を音楽なしで見せるつもりだった。ハーマンは独自に甲高い弦の曲を書き、監督が採用した。あの音は撮影前から決まっていた演出ではない。
【ネタバレあり】ヒッチコックの病気中、助監督がアーボガストの階段場面の一部を撮った。監督は映像を見ると、探偵が逆に襲う側のように見えると判断し、ほぼ撮り直したという。
【ネタバレあり】「母」の声は複数人を組み合わせた。スタジオ記録にはポール・ジャスミンとヴァージニア・グレッグの録音があり、後年資料はジャネット・ノーランの声も挙げている。
【ネタバレあり】当時の映画製作倫理規定を審査するPCAは、1960年2月に完成版をいったん不承認とした。冒頭の恋人同士の場面、覗き、シャワー場面などを問題視し、修正版を見て3月に承認した。
1960年当時は上映途中でも客を入れる劇場が多かった。本作は開始後の入場を禁止し、劇場前に警備員まで配置した。観客が最初から見ないと仕掛けが崩れるという判断を宣伝そのものに変えた。
監督がモーテルを案内する約6分半の予告編。最後にシャワーカーテンを開けると叫ぶ女性は、ジャネット・リー本人ではなく、金髪のかつらを被ったヴェラ・マイルズだった。
長く流通した短い版とは別に、1960年の劇場公開時に上映された長い版が復元され、『Psycho Uncut』として商品化された。復元版の宣伝では追加部分が約13秒と案内されている。
ヒッチコックは1966年の取材で製作費を81万ドルと説明した。The Numbersが現在掲載する北米興収は約3,243万ドル。ただし後年の再上映を含む集計で、1960年初公開だけの収入ではない。
『ハロウィン』(1978)でマイケル・マイヤーズを追うルーミス博士の名は、本作でマリオンの恋人だったサム・ルーミスから借りられたとAFIは記す。人物像ではなく名前の継承だ。
「結末を隠すためヒッチコックが原作本を買い占めた」と語られることがある。だがAFIが当時の記事を調べた結果、その噂は裏付けられていない。映画化権を匿名で取得した事実とは別の話だ。
【ネタバレあり】シャワー場面をソウル・バスが「実は監督した」という説がある。バスは後年そう主張したが、ジャネット・リーと助監督らは否定し、ヒッチコックが演出したと証言している。絵コンテへの関与と監督は別だ。
【ネタバレあり】悲鳴を引き出すためにシャワーの水を急に冷たくした、という話は広く語られる。だがリー本人はその逸話を否定し、7日間の撮影中、水は快適な温度だったと回想した。
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