コスナーはカストロ本人と映画を観た
キューバ危機をホワイトハウス側から描いた『13デイズ』。この映画は、危機の相手側にいた人物にも見せられています。2001年4月、ケビン・コスナーはハバナを訪れ、フィデル・カストロ本人と映画を観ました。[1]
ABC Newsの当時報道によると、夕食、映画の上映、話し合いを含む面会は約7時間。映画が7時間あったのではなく、一本の映画を挟んだ会合全体の長さです。[1]
・一つの立場から描いた映画を、別の当事者へ
映画でコスナーが演じるのは、ケネディ大統領の側近ケネス・オドネルです。物語は米国の政権内部に立ち、情報が集まり、対応を選び、衝突を避けようとする過程を追います。[2]
上映する側も、それを危機の全体像とは説明しませんでした。ABCの報道では、訪問した米国側は、映画が危機の一方の側から描いた一つの視点であることを強調しています。製作者のアーミアン・バーンスタイン、ピーター・アーモンドらも面会に加わりました。[1]
画面で描かれる意思決定を、もう一方の当事者が隣で見る。通常の試写会とは違い、映画の場面が、そのまま本人の記憶と向き合うことになります。
・感想だけでなく、本人の体験も返ってきた
コスナーの広報担当スティーヴン・リヴァーズは、カストロの反応が好意的で、上映後にも興味深い議論があったと説明しました。IPSのハバナ発の記事は、カストロが危機の時期の自身の体験を米国からの訪問者へ語ったことも伝えています。[1][2]
好意的に受け取った、という説明は広報担当者を通じたものです。映画の全場面について、カストロが歴史的に正確だと認定したという意味ではありません。本人に見せた事実と、作品の正確さの評価は別ですね。
・キューバでは、キューバ側の映画も考えられた
訪問はカストロとの私的な上映だけで終わりませんでした。キューバの映画関係者や文化人への上映、招待客向けの上映も行われています。IPSによれば、現地では、同じ危機をキューバ側から作るとどうなるかという議論も起きました。[2]
米国の会議室で何が起きていたかを描く映画と、キューバで何が起きていたかを描く映画では、中心人物も、見える情報も違います。上映した映画の視点がはっきりしていたからこそ、画面の外にある視点も話題になったと読めます。
コスナーは、それ以前にも世界の指導者たちに作品を観てほしいと話していました。核戦争の危険を、過去の出来事だけとして終わらせたくなかったのです。[1]
『13デイズ』の公開後には、スクリーンの向こう側にいた当事者との対話も続いていた。約7時間の会合は、映画の宣伝という枠だけでは収まらない、珍しい後日談です。
・脚注
- abcdeABC News「Costner and Castro Bond Over Thirteen Days」、2001年4月10日。Reutersの取材を含む当時報道。面会時間、参加者、広報担当者の説明。
- abcInter Press Service「Reliving 13 Days on the Brink of War」、2001年4月12日、ハバナ発。視点の説明、上映、現地の反応。