『ジョン・ウィック:チャプター2』鏡の迷宮はどう撮ったのか
本作終盤の、敵も味方も何重にも映る鏡の迷宮。あの空間は、実物の鏡を使ったセットで撮影されました。チャド・スタエルスキ監督によると、セットを建てる費用だけで約100万ドル。撮る側も、鏡の中から姿を消す工夫が必要だったのです。[1]
・『燃えよドラゴン』に、色と階段を足す
発端は、ブルース・リー主演の『燃えよドラゴン』(1973)でした。スタエルスキは、その鏡の部屋に光と色を加えたいと、撮影監督ダン・ローストセンと美術監督ケヴィン・カヴァナーに相談します。カヴァナーが提案したのは、画家エッシャーの、終わりなく続く階段の発想。平面の鏡張りを、上下にも広がる空間へ変えていきました。[2]
ローストセンからはLED照明を入れ、色を変える案が出ました。さらに三人で訪れたメトロポリタン美術館の映像展示をヒントに、映像も投影することにします。鏡だけでなく、光と映像まで動く迷宮になったわけです。[2]
・カメラマン一人の反射を消せば済む、という話ではない
鏡を向かい合わせれば、俳優だけでなくカメラやスタッフも繰り返し映ります。監督が説明する厄介さは、背後の鏡を一枚直せば終わるのではなく、天井や四方の壁にまで反射が広がることでした。[1]
そこで準備中は、スタント班も小さな鏡を手にして、どう映るかを試しました。撮影当日に立ち位置を考えるのでは遅く、反射を残したまま、撮影する側の姿をどう隠すかを先に詰める必要があったのです。[1]
・準備に6か月、撮影後にも6か月
スタエルスキは、この場面には企画から実現まで6か月、さらに撮影後の作業に6か月かかったと振り返っています。後半は、鏡に映った人を視覚効果で取り除く作業です。実物のセットを使うことと、デジタル処理を使わないことは別でした。[2]
来日時の取材では、キアヌ・リーブスも鏡張りのアクションを、発想の面で特に難しかった場面に挙げています。監督の答えは、撮影そのものより「どうすればいいかを考える」ことが難しかった、というものでした。[3]
・脚注
- abcShuffle Online:スタエルスキ監督への取材 Part 2(2017年2月7日)。
- abcSlashFilm:スタエルスキ監督インタビュー(2017年2月10日)。
- シネマトゥデイ:キアヌ・リーヴス&スタエルスキ監督 単独インタビュー(2017年7月5日)。